３歳までのむし歯予防⑫
仕上げ磨きのやり方

お子さまの歯が生え始めると、「どうやってむし歯を防ぐか」ということが気になり始めると思います。特に３歳までの時期は乳歯が生え揃う大切な時期であり、この時期に歯磨きや食生活の習慣を身につけることが、健康な歯を育てる基礎になります。ただし、「完璧に仕上げ磨きをしなければ」とプレッシャーを感じる必要はありません。むし歯予防において、仕上げ磨き以上に大切なこともあります。それについても触れながら、仕上げ磨きのポイントをお伝えします。

 

 

お子さまの仕上げ磨きは、歯の汚れをしっかり取るためのサポートですが、同時に「歯磨きの習慣をつける」ことが目的です。この時期のお子さまは、自分で歯を磨けるようになるための練習期間に当たります。もちろん、できる範囲で丁寧に磨いてあげることは大切ですが、仕上げ磨きが「完璧でなければならない」と思い詰める必要はありません。

 

むしろ、歯磨きを毎日の生活の中に自然に取り入れ、嫌がらずに続けられる環境を整えることが重要です。たとえば、「歯磨きが終わったら褒めてあげる」「お気に入りの歯ブラシを使う」「歌を歌いながら楽しく磨く」など、お子さまが歯磨きにポジティブな印象を持つ工夫をしましょう。歯磨きが習慣化することで、自然と口腔ケアへの意識が高まります。

 

 

仕上げ磨きを負担に感じる方も多いですが、特別な技術や道具は必要ありません。手軽で続けやすい方法を取り入れましょう。

 

1.姿勢を整える

お子さまを膝の上に寝かせ、頭を大人の膝に乗せる姿勢がおすすめです。口の中がよく見えるので磨きやすく、お子さまもリラックスしやすい体勢です。

2.優しく小刻みに磨く

歯ブラシの毛先を歯に当てて、軽い力で小刻みに動かします。特に奥歯の噛む面や、前歯の裏側など汚れがたまりやすい部分を意識して磨きましょう。ただし、強く磨きすぎると歯茎を傷つけてしまうため、力を入れすぎないよう注意してください。

3.フッ化物入りの歯磨き粉を使用する

仕上げ磨きの際には、フッ化物入りの歯磨き粉を取り入れましょう。フッ化物には歯の表面を強くし、むし歯菌が出す酸に対抗する働きがあります。特に乳歯は永久歯よりもむし歯になりやすい構造のため、フッ化物の助けを借りることが有効です。使用量の目安は、「米粒大」程度。飲み込んでしまっても安全な量なので、安心して取り入れてください。

4.夜の仕上げ磨きを優先する

一日のうち、寝る前の仕上げ磨きが最も重要です。就寝中は唾液の分泌が減り、口腔内の自浄作用が低下します。そのため、寝る前に食べ物や歯垢をしっかり取り除いておくことで、むし歯菌の増殖を抑えることができます。

 

仕上げ磨きはあくまで「親子で楽しく続ける」ことを大切にし、完璧を目指しすぎないようにしましょう。

 

 

 

仕上げ磨き以上に、むし歯予防に影響を与えるのが「食生活」です。どれだけ丁寧に仕上げ磨きをしても、食生活が乱れているとむし歯リスクは高まります。特に注意したいのが、「砂糖を含む飲食物の摂取頻度」です。

たとえば、ジュースや甘いおやつを頻繁に摂取していると、口内環境が酸性に傾き、むし歯菌が繁殖しやすくなります。おやつの時間を決めたり、水やお茶を飲む習慣をつけたりすることで、むし歯予防の効果を高めることができます。

「食生活＋仕上げ磨き＋定期的な歯科検診」の３つをバランスよく実践することで、むし歯リスクを効果的に減らすことができます。

 

 

家庭でのケアと合わせて、歯科医院での定期検診もおすすめです。乳歯が生え始める頃から、歯科医師や歯科衛生士によるチェックを受けることで、早期に問題を発見できるだけでなく、仕上げ磨きのコツやむし歯予防のアドバイスを受けることができます。

 

また、フッ化物塗布は歯の表面を強くし、むし歯の予防に効果的です。仕上げ磨きだけで不安を感じる場合でも、こうした専門的なケアを組み合わせることで、安心感が得られるでしょう。

 

 

仕上げ磨きは、「親が完璧に磨いてあげること」が目的ではありません。それよりも、歯磨きが楽しい習慣となり、少しずつ自分で磨く練習につなげていくことが大切です。そして、むし歯予防の基本となる食生活の見直しや、定期的な歯科医院でのチェックを組み合わせて、総合的にケアしていきましょう。

 

「毎日少しずつ」「無理なく続ける」を心がけて、お子さまの歯を健康に守っていきましょう。