３歳までのむし歯予防⑩
初めて歯が生えてきた！（生後6~12ヶ月）

生後6ヶ月頃から、赤ちゃんの下の前歯が顔を出してきます。

我が子の成長を感じられ、とても嬉しい瞬間ですよね。

ここから赤ちゃんの歯のケアも同時に始まります。よくいただく質問を紹介しながら、今気をつけるポイントをまとめてみようと思います。

 

 

乳歯が生えてきたら、いつから歯磨きを始めたらいいか、というのはよくいただく質問です。

もちろんできるのなら早めに始めてあげるのがいいですが、上手に仕上げ磨きをさせてくれる赤ちゃんはまずいません。口の中を触られれば嫌がりますし、歯ブラシを咬んで遊び出してしまうこともよくあります。そんな中、「我が子がむし歯にならないように」と押さえつけて一所懸命仕上げ磨きをされる親御さんもいらっしゃいますが、そこまでは勧めていません。

理由としては

①普通、１歳未満の子は歯を磨かなくてもむし歯になりにくい。

「全国乳幼児歯科検診結果」のデータを参考にすると、１歳６ヶ月でのむし歯有病率は0.8%（2021年度）です。100人に1人以下の割合ですね。1歳未満の子ではもっと有病率は少ないはずです。ではこのむし歯になっていない99人は皆歯磨きが完璧にできていたのでしょうか？そんな事はありませんよね。まだこの月齢の頃はむし歯を過度に心配する必要はありません。今後子供がむし歯にならないようにする準備期間・練習期間と考えています。

ただし、3歳でのむし歯有病率は10.2%（2021年度）まで急に上がります。1歳までの間に予防のための知識・習慣を身につける事が将来のむし歯リスクを下げるのは間違いありません。

（参考までに、2002年のデータでは１歳６ヶ月でのむし歯有病率は3.72%、3歳でのむし歯有病率は10.2%でした。様々な要因があって乳幼児のむし歯有病率は年々下がっています。）

https://www.niph.go.jp/soshiki/koku/oralhealth/infantcaries.html

 

②食生活の見直しの方が大事

生後6~12ヶ月の頃は母乳・ミルクから離乳食へ移行していく時期です。むし歯の心配より、子供のアレルギーや好き嫌いなどに気を配りながら過ごされているかと思います。今の時期はそれで良いと思います。ただ、子供の歯が生えてきたタイミングで見直してほしいのは、食べもの・飲み物の種類、そして与えるタイミングです。

まず食べ物ですが、一般的な離乳食以外で食べさせているものはありませんか？特にお菓子や甘い物の味を覚えさせていませんか？思い当たったらぜひ止めていきましょう。離乳食の内容まではこの記事では書きませんが、砂糖の入った甘いものは乳幼児のためになりません。今後子供の心身の健やかな成長を考えていく上で、早い段階から甘味を摂取する事のメリットはありません。むし歯だけでなく、肥満や高血糖など、全身疾患のリスクを上げる習慣が身についてしまいます。

飲み物に関しては、母乳・ミルクの他には水分補給としては水・お茶までにしましょう。それ以外のものを飲ませている、という方は見直しが必要です。

 

 

以上を前提として、親子でコミュニケーションを取りながら、楽しく仕上げ磨きをしていけるのが理想です。具体的な仕上げ磨きの方法などはまた別記事にまとめたいと思います。