３歳までのむし歯予防（番外編）
上皮真珠について

 

先日患者さんから、「子供の口の中に白いできものができた。これって大丈夫ですか？？？」と質問を受けました。

生後２ヶ月の赤ちゃんですが、写真のように白い突起が見えます。これは何でしょうか？

 

これは「上皮真珠」と言って口の中にできる小さな腫瘤です。上皮真珠と言っても実際に中に真珠があるわけでは無く、口腔の発育過程で吸収される組織が一部残り、角化したものです。

成長と共に自然に無くなるので、治療の必要はありません。写真では１つだけ上皮真珠が確認できますが、複数個見られることもありますし、大きさもまちまちです。

どうしても心配なら、一度歯医者さんで診てもらうのもいいでしょう！

 

 

ここからはマニアックな知識になります。

上皮真珠というのは1880年にEpsteinが上顎口蓋部の小嚢腫の存在を報告した事が最初です。ただ新生児に発現し、自然に消失することなどから発現頻度や好発部位などに関しての報告はあまり多く無いです。

新生児での上皮真珠を調べた論文では(Monteleone,1964)、（Fromm,1967）（Cataldo,1968）などで75~85%くらいの発現率と報告されているので、約8割ほどの新生児には上皮真珠があると言われる事が多いようです。

では日本人での報告はあるかと言うと、新潟大学小児歯科学講座の論文報告があります。（登内　他,1990）富山で生まれた新生児517名の調査で、43.7%に上皮真珠が見られたとの事です。さらに下顎よりも上顎に多く見られること、著明な上皮真珠は2.5%しか見られなかったこと、上皮真珠に関連するパラメーターは無かった事などが報告されています。

歯科関係者しか興味無いかと思いますが、上皮真珠について詳しく知りたい場合はこの論文報告がオススメです。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspd1963/28/3/28_786/_pdf/-char/ja